犬のワクチン証明書をなくしたら? 再発行の窓口は書類ごとに違う(鑑札・注射済票・混合ワクチン)
犬の「ワクチン証明書」は、狂犬病の注射済証、市区町村の鑑札と注射済票、混合ワクチンの接種証明書の3種類で、再発行の窓口がそれぞれ違います。鑑札と注射済票は市区町村(なくしたら30日以内に申請)、注射済証と混合ワクチンの証明書は接種した動物病院へ。病院が閉院していたときの考え方と、ドッグランやペットホテルで写真が使える場面もまとめました。
ドッグランの受付で「ワクチンの証明書を見せてください」と言われます。いつもの引き出しを探しても見つからず、スマホの写真フォルダにもありません。去年の春、どこかにしまったはずの紙です。
「ワクチン証明書」とひと言で言っても、犬の場合、実際には3種類の書類があります。狂犬病の予防注射のあとに獣医師が出す注射済証、市区町村が出す鑑札と注射済票、そして法律上の義務ではない混合ワクチンの接種証明書です。なくしたら、それぞれの発行元に再発行を頼みます。鑑札と注射済票は市区町村の窓口へ(鑑札は30日以内に申請)、注射済証と混合ワクチンの証明書は、打った動物病院へ。これがこの記事の答えです。
ただし、窓口がわかっても再発行できないことがあります。打った動物病院が閉院していたときです。この記事では、書類ごとの再発行の窓口に加えて、病院が見つからないときの考え方と、ドッグランやペットホテルで何が求められるのかを、法令と施設の案内をもとに整理しました。最後に、次になくさないための残し方も書きます。
本記事は、メモフの健康記録を作っているチームによる「記録の残し方」のガイドであり、獣医療や法律のアドバイスではありません。手数料や手続きは自治体によって違うので、実際の手続きは、登録している市区町村とかかりつけの動物病院に確認してください。
犬の「ワクチン証明書」と呼ばれる書類は3種類
「ワクチン証明書をなくした」と言うとき、指しているのは、狂犬病の注射済証、市区町村の札(鑑札と注射済票)、混合ワクチンの接種証明書のどれかです。法律で決まっているものと、そうでないものが混ざっているのが、話をわかりにくくしています。次の表では、市区町村の札を2つに分けて並べます。上の3つは狂犬病予防法とその施行規則で決まっている書類で、混合ワクチンの証明書だけが法律の外にあります。
| 書類 | 証明すること | 再発行の窓口 |
|---|---|---|
| 鑑札 | 市区町村への登録 | 市区町村 |
| 狂犬病予防注射済票 | その年度の狂犬病予防注射 | 市区町村 |
| 狂犬病予防注射済証 | 獣医師による狂犬病予防注射 | 注射をした病院 |
| 混合ワクチンの接種証明書 | 混合ワクチンの接種 | 接種した病院 |
狂犬病の予防注射は、狂犬病予防法で年に1回受けさせることが飼い主の義務になっています。受ける時期は、施行規則で4月1日から6月30日までと決められています。注射を受けると、獣医師から紙の「注射済証」を受け取ります。これを市区町村に見せると、首輪につける「注射済票」が交付されます。動物病院が市区町村の手続きを代行している地域では、病院でまとめて受け取れることもあります。
鑑札と注射済票は、どちらも犬に着けておくことが法律で義務づけられています。登録をしない、鑑札や注射済票を着けない、予防注射を受けさせないといった違反には、20万円以下の罰金が定められています。
混合ワクチン(5種や8種など)には、法律上の義務はありません。それでも、ドッグランやペットホテル、トリミングサロンの多くは、狂犬病とあわせて混合ワクチンの証明を求めます。受付で「ワクチン証明書」と言われたら、たいていはこの2つ、狂犬病の注射済証と混合ワクチンの接種証明書のことです。
鑑札をなくしたとき
鑑札は、登録している市区町村の窓口で再交付を受けます。狂犬病予防法施行規則は、鑑札をなくしたり壊したりしたときは、30日以内に再交付を申請するよう定めています。再交付を受けたあとで元の鑑札が見つかったら、5日以内に市区町村へ返します。
手数料は市区町村の条例で決まります。横浜市、大阪市、東京都の江東区と葛飾区はいずれも1,600円ですが、札幌市は1,800円です。住んでいる自治体のページで「鑑札 再交付」と調べると、窓口と手数料がわかります。大阪市や札幌市のように、動物病院では鑑札の再交付の手続きができない、と明記している自治体もあります。病院に行く前に確かめておくと、無駄足になりません。
なお、マイクロチップの情報を登録する制度に参加している自治体では、登録したマイクロチップが鑑札とみなされます(狂犬病予防法の特例、環境省)。この場合、首輪の鑑札をなくしても、登録そのものがなくなるわけではありません。
注射済票・注射済証をなくしたとき
首輪の注射済票をなくしたとき。 鑑札と同じく、市区町村の窓口で再交付を受けます。手数料は、横浜市、江東区、葛飾区で340円、札幌市では400円です。
ここで注意したいのは、施行規則が、注射済票の再交付を申請するときには注射済証を見せるよう定めていることです。つまり、首輪の札をなくしたときに、紙の注射済証が手がかりになります。札と紙を両方なくしていると、その年に注射を受けたことを窓口で示すのが一段むずかしくなります。
紙の注射済証をなくしたとき。 注射済証は、注射をした獣医師が交付する書類です。まずは注射を受けた動物病院に相談してください。再発行の扱いは病院によって違います。
集合注射で受けたとき。 自治体の集合注射で受けた人からは、手元に証明の紙が残っておらず、ドッグランで何を見せればいいかわからない、という相談がよく聞かれます。その場合は、登録している市区町村に、接種の証明を出してもらえるかを聞いてみてください。たとえば北九州市は、ドッグランやペットホテルなどに出すための「登録と狂犬病予防注射を受けていることの証明書」を、動物愛護センターで手数料300円で発行しています。同じ証明を出しているかどうかは、自治体によって違います。
混合ワクチンの証明書をなくしたとき
混合ワクチンの接種証明書は、接種した動物病院に再発行を頼みます。ほかの病院に頼んでも、ふつうは出してもらえません。獣医師法は、自分で診察しないで診断書を出すことを禁じています(第18条)。自分が打っていないワクチンを証明するのは、それと同じくらい難しいことだと考えてください。
再発行の手数料や、発行までにかかる日数は病院によって違うので、電話で確かめてから行くのが確実です。再発行された証明書には、原本に貼られていたワクチンのシールが付かなかった、という相談もあります。施設に出す予定があるなら、再発行分で受け付けてもらえるかも施設に確かめておきましょう。
病院が閉院・転院していたら
いちばん困るのは、打った病院そのものがなくなっているときです。
獣医師法は、診療簿(カルテ)の保存を獣医師に義務づけています。保存期間は施行規則で決まっていて、牛やめん羊、山羊などは8年ですが、犬や猫を含む「その他の動物」は3年です。閉院したあとの記録を誰が引き継ぐかは、法律では決まっていません。つまり、3年より前の接種の記録は、閉院や転院をきっかけに、証明を出せる人ごと見つからなくなることがあります。
記録が見つからないときに考えられるのは、次の3つです。
- 移転先や引き継いだ病院を探す。 閉院の案内に引き継ぎ先が書かれていることがあります。同じ獣医師が別の病院に移っていることもあります。
- 施設に代わりの書類を聞く。 混合ワクチンについては、1年以内の抗体検査の証明書でもよいとしているペットホテルがあります。
- かかりつけの獣医師に相談する。 世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチネーション・ガイドラインは、ジステンパーやパルボウイルスなどのコアワクチンについて、抗体検査を免疫の確認に使えるとしています。追加で接種するか、抗体検査にするかは、その子の年齢や健康状態を知っている獣医師と決めてください。
狂犬病の予防注射は例外です。法律で毎年1回と決まっているので、抗体検査では代わりになりません。
ドッグラン・ペットホテルで求められるもの
施設が求める証明は、施設ごとに違います。公開されている案内から、いくつか例を挙げます。
- 国営昭和記念公園のドッグラン:3種以上の混合ワクチンの接種証明書と、狂犬病予防注射済証または注射済票で、接種から1年以内のもの。コピーや写真でもよいとしています。注射済証などがまだ届いていない場合に限り、動物病院の領収書や明細書で代用できます。
- カインズのドッグラン:狂犬病の予防接種の証明書が必要で、写真やコピーでもよいとしています。鑑札で示す場合は、接種日のわかるものも一緒に求めています。
- リロホテルズ(犬と泊まれるホテル):狂犬病は接種から2週間以上、1年以内。混合ワクチンは5種以上で、1年以内の抗体検査の証明書でもよいとしています。
「1年以内」という条件は、多くの施設に共通しています。一方で、写真やコピーで足りるか、接種から何日たっていればよいか、何種のワクチンを求めるかは施設によって違います。行く前に、その施設の案内で確かめてください。
写真を認める施設が多いということは、裏を返せば、証明書を受け取った日に撮った1枚が、原本をなくしたときの控えになるということです。
次になくさないために、今日できること
- 受け取った日に撮る。 注射済証も混合ワクチンの証明書も、病院を出る前に、シールまで読めるように撮っておきます。
- 「いつ・どこで・何を」を1行で残す。 接種日、病院の名前、ワクチンの種類(狂犬病、5種など)。病院が閉院しても、この1行があれば、引き継ぎ先を探すときや施設に相談するときの手がかりになります。
- 家族が見られる場所に置く。 ドッグランに連れて行くのが、証明書をしまった本人とは限りません。
- 次の接種日を予定に入れる。 「1年以内」が条件の施設が多いので、期限が切れる前に気づけるようにしておきます。
ワクチンのほかにどんな記録を残しておくとよいかは、ペットの健康記録のつけ方の記事にまとめました。ワクチンの接種日は、災害で避難するときに持ち出す情報としても挙げられています。
メモフの立ち位置
メモフには、通院やワクチンを残せる健康記録があります。証明書の控えとして何ができるのかを、具体的に書いておきます。いまのアプリで実際にできることだけです。
- 通院の記録に、証明書の写真を添えられます。 受診日、病院、受診の理由、先生から言われたことと一緒に、写真を残せます。証明書を受け取った日に撮って、その日の通院の記録に添えておけば、ドッグランの受付でアプリから見せられます(写真を認めている施設の場合)。
- 写真はサークルの家族だけが見られます。 タイムラインや、祖父母向けの閲覧ページには出ません。連れて行く家族が誰でも、同じ記録を開けます。
- ワクチンや予防の予定を、毎年のくり返しで登録できます。 当日にオーナーと共同オーナーへお知らせが届き、誰が完了にしたかも残ります。通院の記録に次回の予定を入れておくと、7日前・前日・当日にお知らせします。
- 閲覧専用の健康記録リンクを無料で作れます。 新しい動物病院やペットホテル、シッターさんに、アプリなしでブラウザから見てもらえます。1日・1週間・1か月で見られなくなり、ワクチン・予防の実施状況や通院記録が表示されます。写真や家族の名前は共有されません。
- 健康記録リンクは、証明書の代わりにはなりません。 獣医師が出した証明書ではないからです。証明書が必要な場面では、原本か、施設が認めていれば証明書の写真を見せてください。
健康の記録は、過去の分まで含めてどのプランでも無料です。全データのエクスポートも、どのプランでもずっと無料です。広告は表示せず、データを販売することもなく、公開のフィードもありません。健康記録でできることは機能ページ、何が有料で何が無料かは料金ページでご覧いただけます。
繰り返しになりますが、本記事は記録の残し方のガイドです。再発行の手続きと手数料は登録している市区町村に、ワクチンをどうするかはかかりつけの獣医師に確認してください。
参考にした資料
- 狂犬病予防法(e-Gov法令検索)
- 狂犬病予防法施行令(e-Gov法令検索)
- 狂犬病予防法施行規則(e-Gov法令検索)
- 獣医師法(e-Gov法令検索)
- 獣医師法施行規則(e-Gov法令検索)
- 犬と猫のマイクロチップ情報登録について(環境省)
- 犬の登録と狂犬病予防注射の手続き(横浜市)
- 飼い犬の登録に関する手続き一覧(大阪市)
- 犬の登録・狂犬病予防(東京都江東区)
- 犬の鑑札や注射済票を紛失してしまいましたが、どうしたらいいですか。(東京都葛飾区)
- 犬の登録と狂犬病予防注射(札幌市)
- 犬の登録と狂犬病予防注射(北九州市)
- WSAVA Guidelines for the Vaccination of Dogs and Cats(2024年版)(世界小動物獣医師会 WSAVA、英語)
- ドッグラン(国営昭和記念公園)
- 【ドッグラン】利用するために必要な証明書はありますか?(カインズ よくあるご質問)
- 愛犬との旅行について(リロホテルズ よくあるご質問)
- 犬をドッグランなどに連れて行く場合狂犬病ワクチンの接種証明書がいる…(Yahoo!知恵袋、2024年)
- 犬の混合ワクチンの証明書を失くしてしまいました。再発行をしてもらっ…(Yahoo!知恵袋、2021年)
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